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    あの夏休み、姉は陳おじさんと一緒に町へ出た。 最初はただの違和感だった——陳おじさんが帰ってくるたびに、姉の帰宅が遅くなった。学校で用事があると言っていたけど、体からはいつもシャンプーの匂いがした。僕は何も聞かなかった。喉の奥に小さな棘が刺さったまま、それを飲み込むようにして、疑問を胸の底に押し込んだ。 そしてある日、陳おじさんのケータイの中であの日記を見つけた。 そこで初めて知った——僕の知らない場所で、知らないうちに、何かが静かに始まっていたことを。 あの夏はやけに長かった。蝉時雨が辺り一面を覆い、庭の老いた槐の木の葉が風に擦れて音を立てていた。姉は相変わらず姉だった。朝早くに起きて朝ごはんを用意し、夕方になると庭に出て涼んでいた。 でも、何かが確かにあの夏の間に変わっていった。 そして僕は、その秘密を抱えて生きることになった。